目的半分、暇つぶし半分。

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テーマ「新生活」その2 自己紹介について

今週はJが担当します。先週のKの話はいかがでしたか?あれを見たのが新社会人あるいは社会人の方であれば、次に祝辞に立ち会うのは祝辞を述べる側の人間になっているときかもしれません。さて、Kは聞く側の意識の持ち方について書きましたね。では私は逆に話をする側の意識の持ち方について少し書いてみましょうか。

新生活、自己紹介をする機会というのは年齢や職業を問わず多いのではないでしょうか。「それじゃあ、1分くらいで簡単に自己紹介をしてください」なんて急に言われて慌ててしまう方もいれば、ああまたかと慣れきった態度で話せる人もいるのでしょう。かくいう私もKから自己紹介をするように言われてましたね。では、自分の自己紹介を材料にして、自己紹介って何を話せばいいの?という悩みに取り組んでみましょう。

Jの自己紹介

はじめまして。○○大学大学院、博士前期課程1年のJです。学部では3年次から英米の政治哲学を専攻し、卒業論文はドゥウォーキンの平等論について書きました。大学院でも引き続きドゥウォーキンの政治哲学、倫理学を学んでいます。趣味はウェイトトレーニングです。よろしくお願いします。

以上が私の自己紹介です。私は大学院生ですので自分の所属、研究テーマは必ず言います。趣味を付け加えることもあります。なぜ私が所属と研究テーマについて話すのかというと、それがその場で聞く側から求められている情報だからです。当然のお話ですが、自己紹介とは相手が私に関して求めている(あるいは求めているであろう)情報を推察して開示することです。これも当然ですが、それゆえ自己紹介の内容は場に合わせて変える必要があります。合コンや街コンで初めて会う相手にいきなり自分の推しについて語り始めると微妙な反応をされますね。「推しは△△ちゃんです!」くらいならさらっと流されますが、「私が△△ちゃんを信奉する理由は~」まで話を進めてしまうと完全にアウトです。そのコンパが特定のジャンルに特化したもので、あるテーマについて深く語り合う場であるなら問題ないのでしょうが、普通自己紹介で話す内容は、さわり程度でそれ以上のレヴェルは求められていません。私もこの記事で求められている最低ラインの自己紹介をしたつもりです。(話しすぎたかな?)

角度を変えて、自己紹介を聞いた側にどのような印象を与えるかを考えてみます。私の自己紹介を見てどんな印象を持ちましたか?なんか真面目そう?勉強すきなの?マッチョなの?ちょっとキモイ?文字だけの自己紹介では相手に自分について伝えることは簡単ではありません。ちゃんと伝えようと思ったらA4一枚分くらいに必要かもしれません。ですが、face to faceでは相手には話の内容以上の情報が伝わります。目線、声のトーン、口調、服装や身だしなみ。相手はたった一分の自己紹介から話者についてたくさんの情報を得るでしょう。そうして相手がどのような人間であるか判断します。さきほどの私の自己紹介から読者は、真面目、勉強好き、マッチョ、程度の情報を得たと思います。人によっては大学院生という人間についてのイメージをなんとなーく持っていて、理屈っぽいとか、妙なこだわりがあるという情報から付き合いにくい人間なのではないかという評価をしてくれた人もいるかもしれません。私の自己紹介の一例から分かるように、人は相手の肩書や趣味に付随する社会的なイメージと感覚的な情報を組み合わせて、総合的に評価します。極端な例ですが私がさっきの自己紹介を、伸び放題の髪の毛と無精髭でサイズの合っていない服を着て目線を合わさずぼそぼそと話したら、恐らく私との関係はその場きりにしたいと願うはずです。

ここらで話をまとめましょう。自己紹介で何を話せばよいのか。相手に好印象を与えたいと思っていることを前提に話しますが、第一に聞き手が何を求めているか考えましょう。誰だってどうでもいい情報を聞かされるのは好きではありません。自己紹介に限らず会話は協働作業です。お互いに有益な情報が得られるようなものにしましょう。第二に目線や話し方に気を付けましょう。何を話すかに気を取られすぎてはいけません。自分は非自覚的であっても、話者の態度は話者の評価につながりかねない情報を発信しています。恋愛のハウツー本のようですが、第一印象が大事なのです(戒め)。あと、付け加えれば自己紹介には「流れ」があると思います。その場で発せられた最初の自己紹介が、それ以降の人の自己紹介に少なくない影響を持ちます。Kは、無人島に持っていくものと好きな言葉を紹介してくれましたが、あれは私にとっては少しプレッシャーになったというか、拘束力のようなものを感じました。従いませんでしたが。より話の上手な人という印象を持たれたい場合は、前の人の話の流れにのり、自分に引き付けてやれば、気の利いた話し方をする人だなあと思われるのではないでしょうか。

さて、二千字を超えましたのでそろそろ終わりにしたいと思います。私の思考の傾向とその表現としての文章には抵抗感を感じた読者もいるかもしれません。「お前の話は当然のことしか言ってない。何を偉そうに語ってるんだ」と。ですが、誰もが当然と思い自覚していないことに、敢えてそれはなぜなのかと問うことで、当然とされる理由が見えてくることもあります。若干啓発的な内容になってしましました。今後も読む人のちょっとためになる(かもしれない)記事をKと一緒に書いていこうと思います。よければ今後もお付き合いください。

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